……だとしたら逃げなくては。 とっさに浮かんだのがそれだった。 犯した覚えもない罪で捕まりたくはない。そう思った。 私は足下の女の体と、赤黒く光る血溜まりを避けてベッドを降り、リビングダイニングへと続くドアを開けようと歩いた。 「………」 ふと背後に視線を感じて振り返る。 しかしそこにあるのは横たわる女の死体のみ。 ……気のせい、だよな? そう思おうと自分に言い聞かせた瞬間。 気付いた。 気付かなければ良かったのに。 気付いてしまった。 あの死体、目、開いてたか?