一生懸命説得した。
どうやったらいいか一生懸命考えた。
高校三年は歌手になる為のレッスンばかり、
勉強なんてそっちのけで打ち込んでいた。
だけど、親の意思硬かった。
「あなた一人だけじゃないでしょう?
弟だっているの。経済的に難しいのよ。
あなたが出て行くとなると仕送りとか、
色々考えてあげなきゃいけないじゃない」
「いいよ、私一人で生活するから」
「そんな、出来るわけないでしょ。
全く知らない土地で急に一人立ちなんて…
無理に決まってる。諦めなさい」
「私、一人で何でも出来るもん」
「じゃあ家を借りる時の保証人は?
お父さんもお母さんもサインしなわよ?
敷金礼金は?バイトしてないのにあるの?」
子どもって弱いなぁ。
親がダメって言ったら何も出来ないんだ。
大学は親が決めた大学に決まってて。
いつの間にか合格してた。
お父さんは大学関係者に顔がきくからって
お母さんが親戚に話してるが聞こえた。
バイトは勉強の邪魔だから禁止されてた。
でも、こんな時にはそう言うんだ。
大人はずるいって思った。
大学にだったら行かせてくれるのに。
自分がこの世でちっぽけすぎて、
何も出来ない自分が、また小さくて。
反抗も出来なかった自分が情けなかった。
