「んだぁ!!?喧しい!!!機体に響くだろうが!!!!」


ガタイのいい体をした三十路手前の顔の頭の付け根から長く顎まで縦に傷跡がある鋭い眼光を持つ男が手に持っていたスパナでガンガンその機体を殴っていた、言って居る事とやってる事が矛盾している。

男は高い位置で結い上げたドレッドヘヤーの頭をがしがしと乱雑にかきむしる。

「あと少しでネジがハマる所だったのによ」
慣れない機体整備で神経を集中して居た分、途中で邪魔が入りその集中力が散漫になったのに頭に来たのか男は持っていたスパナで何度も現れた少年の頭を殴る。

「いでぇよ団長!!」
「喧しい!!大した要件じゃなかったら天辺から吊して何回もアクロバティックかますぞ!!」

「それは勘弁!!けどけどシュヴァルツバルトの機体が上空に飛んでたぜ!あの高度なら恐らくこの街の近くに着陸するはずだぜ!」
少年の口から出て来た名前に男はニヤリと不敵に口角を上げる。

「へぇあいつらが、そりゃあ挨拶しなきゃならねぇな」

近くの地面に突き刺さっていた湾曲した剣を手にし横に凪ぐ、切っ先が機体を裂く。

「あいつは徹底的にブッ潰さなきゃ気がすまねぇ」


目を血走らせ男は縦に入っている顔の傷に触れる。


どうやら青空達の知らない所で厄介事がすでに起き初めていた。


そんな事は露知らず青空はリオンにつっかかっていた。


「ちょっと!!乙女に向かって神経図太いって何よ!!」

「今更その事言うのかよ!!!」