稔の父親はこの周辺でもよく知られる、数少ない大きな総合病院の院長。


 母親は世間でも名前のよく知れた弁護士だ。


 そのため子供の頃から何不自由ない暮らしをしてきたが、両親の仲は悪く、別居している状態である。



 稔は父親に医者になることを強要されているのを苦に、家を出てきたのだ。




 その後、心配に思う母親が父親に内緒で、生活費や学費の面倒を見ているのである。



 まぁ結局親のすねをかじらないと何もできない高校生、ってとこだ。



 さらにありがたいことに、桜の事情を聞いた母親が、桜の分まで学費をもってくれているのであった。