二人の会話を聞いていた稔が口を割った。




「ま、本人が嫌がってるんだから無理に知る必要もないと思うけど、でも知っておくべきこともあるんじゃないかと思うな。ゆっくり、少しずつさ。」


「そうね、稔君の言うとおりだわ。少しずつでいいのよ。無理に全部思い出そうなんて思わなくていいんだから。」

「はい。」



 会話を終えて吉永にお礼を言い、立ち去ろうとすると、後ろから吉永の声が聞こえた。






「それはそうと、稔君、具合悪いなら、本当に保健室で休んでっていいのよー」








 稔は苦笑を浮かべ、背後の吉永に振り返らずに手を振りながら、桜と一緒に教室へ向かった。