「恋汰、今、どこ?」

携帯から姉貴の金きり声が響く

「ああ? 今、学校が終わったところだよ」

「4時に女子高校生の彼氏役
6時にホステスの同伴
9時から一晩レンタルが入ってるから」

「あ? 昨日までフリーだったはずだけど…」

「昨日は昨日、今日は今日よ
詳細はメールで送るわ
しっかり頼むわよ」

ぶちっと携帯の通話が途切れた

ツー、ツーと機械音だけが俺の耳の中に残る

「あ…おいっ!」

3分後
姉貴から客の詳細と写メが送られてきた

待ち合わせ場所、声のかけかた
どんな恋愛がお望みか

どんな男が好みか

一方的な要求だけが書かれてある

そして最後には

『本当は玲、ご指名だったんだけど…あいつはナンバー1で体が全然あいてないから
あんたで我慢してもらった
名前も似ているし、いいでしょ?
お客様の失礼のないように!』

失礼なのは姉貴だっつうの!

俺は携帯をしまうと、駅のロッカーキーをじゃらりと出した

一番最初のお客様のご要望にお応えする衣裳が入っているロッカーキーを選ぶと

残りの鍵を学生鞄にしまった






今夜はどんな恋愛が待っているかな?