SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


気持ちを落ち着かせて、もう一度チャイムを鳴らす。


そのとき、玄関から少し離れたところにある窓が、目に入った。



「……え――」


思わず声がもれた。



さっきマンションの下から見上げたときには、暗くて気づかなかった、その真実。


俺は恐る恐る、窓に歩み寄る。


そしてはっきりと認めた光景に、言葉を失った。



カーテンがはずされた長方形の窓。


その向こうに広がる、何もない空間。


テレビも、ベッドも、壁かけの時計も。



何もかもがキレイに消え去った

ただの四角い空間だった。




……嘘、だろ?


何かのまちがいだろ……?



本能的に後ずさりした足がよろけ、廊下の柵に手をつく。


目の前にある空き部屋と、俺たちが笑い合ったあの部屋が、同じ場所だなんて思えない。



俺は時間を忘れたように、その場に立ち尽くしていた。