SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「あらぁ、アキ君もう帰っちゃうの?」


階段の下から聞こえる、普段より1オクターブ高い母さんの声。


「はい。お邪魔しました」


「またいつでもいらっしゃいね~」



玄関を開け閉めする音が、かすかに響く。



俺は枕元に置いていたタバコの箱に手を伸ばし、中から一本取り出した。


けどなぜか吸う気にならなくて、握りつぶしたタバコを床に投げ捨てると、ベッドに顔をうずめた。




千夜子さんが好きなのは、俺じゃない。


この想いに、彼女は応えてはくれない。



だけど俺の心に引っかかっていたのは、そんなことだろうか?



……違う。


本当は――