SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「最っ低!」 


左頬がジィンとしびれている。


えっと……突然のことで頭パニックだけど。

どうやら俺、ビンタされたっぽい。



「あたしが水商売だからって、軽い女だと思ってんでしょ!?」


「はぁ?」



いやいや、そこまで言ってねぇじゃん。てか俺、あんたの仕事とか知らねぇじゃん。

ちょっと冗談言っただけで殴るとか、何なんだよ一体!?


頬をさすりながら唖然とする俺に、彼女はまだ腹の虫がおさまらないらしい。



「だいたいねぇ、なんで高校生がホテル街を歩いてんのよ!」


「そっちだって、俺とたいして年齢ちがわねぇじゃん」


「は!? あたしは26歳よ!」



ええぇぇ~~!?

ありえねぇ。
サギだろ、サギ。


外見はどう見てもコドモだし

何よりこの、感情のまま暴走する性格。


とても26とは思えないですけど?



「……とにかく」


彼女は俺をキッとにらみつけ、急に大人ぶった口調になった。



「助けてくれたのは感謝します。ありがとう。じゃあね」



捨てゼリフのように言うと、彼女はヒールを鳴らし、颯爽と歩き出した。