SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


アキは何も答えない。

テレビに視線を向けたまま、かすかに肩をすくめるだけで。


タバコを乱暴に灰皿におしつける俺。


言葉が勝手に飛び出すのを、止められなかった。



「なぁ、いいかげん気づけよ。他の男に惚れてる女なんて、想うだけムダなんだよ。意味ねぇんだよ。さっさと忘れて次にいけばいいじゃん」



俺はアキの肩をつかんだ。

何か答えてほしかった。



「女なんか……」



声が、かすれる。



「女なんか他にいくらでもいるのに。なんであの子じゃなきゃダメなんだよ。
報われないのに想い続けたところで、辛いだけじゃねぇか。
なのに、なんで……」




わかっていた。

問いかけはアキにではなく、最初から自分自身に向けられていたということ。



……なんで俺は、千夜子さんじゃなきゃダメなんだろう。



答えがあるのなら、誰か教えてほしい。


俺にはもう、この消えない想いを、どうすればいいのかわからない。