SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「シンはさぁ、やっぱり元気じゃなきゃ変だよ」


そう言ってまた唇をとがらせる彼女に、俺はヘラッと目尻を下げた。



……笑っていよう。

とにかく笑うんだ。


今までだって、そうしてきたんじゃんか。



笑っていれば、わずらわしいことも流していける。


まわりの人間に気を使わせることもないし、衝突することもないのだから――…




――『嫌なことがあったときは、まわりなんか気にせず怒ったり泣いたりしてもいいと思うよ?』




「………」


不意によみがえりかけた言葉を振り払うように、俺は鞄を肩にかけ直した。



「あ~っ、なんか今日は飲みたい気分だなぁ」



大げさに伸びをしながら言って、隣の彼女に視線を落とす。



「ね、俺んちで飲まねぇ?」


「それって進路室の前で言うセリフ?」



ケラケラ笑う彼女に合わせ、俺もおどけて笑った。



窓の外に目をやると、もう雪は降っていない。


さっき見た白いものは、見まちがいだったんだろうか。



今はただ、不自然な笑顔を貼りつけた男の顔が、曇ったガラスに映っているだけだった。