「シンはさぁ、やっぱり元気じゃなきゃ変だよ」
そう言ってまた唇をとがらせる彼女に、俺はヘラッと目尻を下げた。
……笑っていよう。
とにかく笑うんだ。
今までだって、そうしてきたんじゃんか。
笑っていれば、わずらわしいことも流していける。
まわりの人間に気を使わせることもないし、衝突することもないのだから――…
――『嫌なことがあったときは、まわりなんか気にせず怒ったり泣いたりしてもいいと思うよ?』
「………」
不意によみがえりかけた言葉を振り払うように、俺は鞄を肩にかけ直した。
「あ~っ、なんか今日は飲みたい気分だなぁ」
大げさに伸びをしながら言って、隣の彼女に視線を落とす。
「ね、俺んちで飲まねぇ?」
「それって進路室の前で言うセリフ?」
ケラケラ笑う彼女に合わせ、俺もおどけて笑った。
窓の外に目をやると、もう雪は降っていない。
さっき見た白いものは、見まちがいだったんだろうか。
今はただ、不自然な笑顔を貼りつけた男の顔が、曇ったガラスに映っているだけだった。



