窓のむこうで、白いものがちらついていた。


……雪か。

そういえばもう12月なんだっけ。


カレンダーを思い浮かべてしみじみする俺に、担任の教師がピシャリと言った。



「外の景色なんか見てないで、人が話してる時はちゃんと聞きなさい」



俺は窓の方に向けていた顔を戻し、「すんません」と首で会釈する。


この時期になっても進路指導室に呼ばれている俺は、つまりまだ、卒業後のことを何も決めていない。


面倒くさい。
考えたくない。

それが正直なとこだった。



「自分の将来のことなのに、もっと真面目に取り組もうとは思わないのか?」



担任はボールペンでこめかみを押しながら、苦い顔をする。


そして、耳にタコができるほど聞いた、あのセリフを口にした。



「お前の友達の月島は、あんなに頑張ってるっていうのになぁ」


「先生」


俺はピョンと軽い動作で立ち上がり、担任の説教をさえぎった。