SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


尻尾を巻いて走り去るオッサンを見ながら、悦に入っていると


「あ、あの、ありがとう、ござい、ました」


ぎこちないお礼の言葉が、腕の中から聞こえてきた。



「いえいえ。大丈夫だった?」


「はい……」



まだ少し不安気な顔で俺を見上げる彼女。

近くで見たらけっこう可愛い子だ。


色白の肌に、小動物みたいなクリっとした瞳。

俺と同い年くらいかな?



「あの……」


「ん?」


「そろそろ、離してほしいんですけど……」



彼女は遠慮がちにそう言って、肩に回したままの俺の腕から逃げようとする。

顔はトマトみたいに真っ赤っ赤。



その反応が新鮮で。

なんだか、からかいたくなって。


つい、いつもの調子で言っちまったんだ。




「どうせだからこのまま、俺とホテル入っちゃう?」




バチン!!


と豪快な音が、耳のすぐそばで響いた。