植田さんと知り合ったのは、私があのお店で働きだしてからでした。
なかなか水商売になじめない私を、マネージャーである植田さんが励ましてくれて。
相談とか乗ってもらっているうちに、どんどん好きになっていったの。
それにむこうも、私のことを「キャストとしてじゃなく、特別な目で見てる」って言ってくれたんです。
すごく嬉しかった。
店内恋愛は禁止だから、みんなには秘密にしなきゃいけなかったけど、それでも私は幸せだった。
植田さんに褒めてもらいたくて、仕事をがんばって……。
いつのまにか私は、「植田さんのそばにいたいから」という理由で働くようになっていたんだ。
……勘の鋭いシン君なら、もうわかってるよね。
そう、彼は私のことなんか、本当は愛してくれていなかった。
甘い言葉も、優しさも、すべては「お店から離れられなくするため」のもの。
男性スタッフの常套手段。
だから彼は私だけじゃなく、他の女の子たちにも同じようなことをしていたんです。



