貴方なんか好きじゃない、とか
男として見れない、とか
そう言ってくれた方がよっぽどマシだ。
“シン君はキレイだよ”
その言葉はまるで、ふたりの間に大きな壁を造られたようで。
情けないほど立ち尽くす俺は、無力な子どものようで。
「……もういい」
投げやりな言葉を吐き捨てて、俺は部屋を出た。
千夜子さんはずっとうつむいていた。
追ってくる気配すらなかった。
俺の足音だけが響く、薄暗いマンションの階段。
体の芯まで凍りつきそうな寒い夜。
けれど腕の内側に残った千夜子さんの体温は
いつまでも消えてはくれなかった。



