「俺、そんなガキじゃねぇし。そりゃまだ学生だけど、それなりに汚いものも見てきたし――」
「――それでもっ」
俺の言葉を止めるように、強い口調で千夜子さんが言った。
彼女の足が一歩、二歩と、後ろに下がる。
「それでも……シン君はやっぱり、キレイだよ」
「……」
千夜子さんは悲しそうに笑った。
今までに見たどの表情より、オトナの顔をしていた。
「なんで、そんなこと言うわけ……?」
俺の問いに千夜子さんは答えてくれない。
ただ微笑みを保ったまま、目のふちの涙が俺から見えないよう、少し視線を下げる。
俺ももう、何も言えなかった。
さっきまでの勢いや情熱は、もぎ取られたように俺の中から消え
絶望感だけがこみあげていた。



