SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「千夜子さん」


腕の中の体がビクンと震え、おびえたような二つの瞳が俺を見上げる。


……ゆっくりと、千夜子さんに顔を近づけた。


横を向いて逃げようとする彼女の頬に、手のひらを当てる。


ダメ、と小さく発音する唇に、俺は自分の唇を重ねようとした。


あと数センチの距離――



そっと目をふせた。


だけどやわらかいものが、俺の唇に触れることは、なかった。




「……ごめんなさい」



千夜子さんは両手で俺の胸を強く押して、震えた声をしぼりだした。



「千夜子さん。俺、本気だよ?」



念を押すように言うと、千夜子さんはほとんど泣き出しそうな顔になった。


それでもギリギリのところでこらえ、作った笑顔を俺に向ける。


この深刻な空気を一刻も早くぬぐい去りたい。そんな様子で。