「おじさ~ん。俺の彼女に何してんの?」
「え? ……うわあっ!!」
ふり返ったオッサンは俺を見て、目ん玉が飛び出しそうな顔で慌てふためく。
ま、身長187センチの俺にいきなり背後に立たれたら、誰だってこうなるか。
「なっ何だ、お前!?」
「“ちぃちゃん”の彼氏でーす」
ね?と女の子の方に目配せしたけれど、状況が飲み込めていないらしく、ノーリアクション。
しかたねぇなあ……。
俺は彼女の隣にまわると、細い肩をグイッと抱き寄せた。
「こういうことだから。おじさん、早く消えてくれない?」
隣で口をパクパクさせている女の子を無視し、俺はオッサンを見下ろして言う。
なんか、正義のヒーローになった気分。
いいね、いいね~。たまにはこういうのも。



