SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「え?」


考えたことすらなかった、と言うかのように。

真っ赤に充血した千夜子さんの目が、丸く見開いた。



「俺、千夜子さんがこんなことで泣いてるの、見たくねぇんだよ」


「………」



涙はもう止まっていた。

あまりの驚きで止まってしまったんだろう。


千夜子さんは視線を泳がせながら、しきりに瞬きをくり返す。


濡れたまつげが、微かに光るのが見えた。




「でも、あたし……今すぐ仕事をやめるわけにはいかないし」



やっと口を開いた千夜子さんの返事は、これだった。


俺の告白に対しては触れてもこない。

わざと触れないようにしているのかもしれない。


目も合わせてくれない千夜子さんが歯がゆくて、俺の声に、力がこもる。



「別に千夜子さんは、借金とかあるわけじゃないんだろ?」


「………」


「じゃあ昼の仕事で暮らしていこうと思えばできるじゃん」


「でも……家賃とか払う自信が……」


「俺、春になったら社会人だから、少しは稼げるようになるよ」


「え?」


「そしたら一緒に住もうよ」