ずっと憂鬱だった。
マンションの下から千夜子さんの部屋を見上げ、電気がついていないのを確認するたび。
どこかの男と千夜子さんが、仲良く会話しているのを想像するたび。
本当はずっと、憂鬱だったんだ。
だけどそんなの言えるわけなくて
自分でも気づかないふりをして、目をそらし続けてきた。
別に水商売がいけないわけじゃない。
でも俺は、他の男が千夜子さんに近づくのが許せなくて。
千夜子さんを独占したくて。
そう。
今ならハッキリと認められる。
俺は千夜子さんが――
「好きなんだ」
低くかすれた俺の声が、部屋に響いた。



