「……あたしって役立たずな人間なんだなぁって思ったら、涙が出てきちゃって。
もともと指名も少なかったから、仕方ないんだけどね」
話して少しスッキリしたのか、千夜子さんの顔には弱々しいながらも笑みが浮かんでいた。
「それで、俺に電話してくれたんだ?」
「うん……」
奇妙な喜びと期待が、俺の胸に芽生える。
「でもシン君に甘えちゃいけないって思って、すぐに切ったんだけど――」
「そんなことないよ」
とっさに千夜子さんの言葉をさえぎって言った。
自分でも意外なほど真剣な声が出てビックリした。
俺は我に返り、いつものヘラヘラ笑顔を取り戻す。
「全っ然、迷惑じゃねぇし。もっと甘えちゃってよ。
俺、いつでも千夜子さん最優先で駆けつけるからさ」
軽い口調で言ったけど、本心から出た言葉だ。
千夜子さんは俺につられたように笑ったけれど、すぐに寂しげな顔に変わった。
そして。
「シン君はやさしいね」
そんなつぶやきと共に、また、涙を流し始める。



