SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「メシは?」



食べてない、という意思表示で、首をかすかに横にふる千夜子さん。



「俺、何か買ってくるよ」



そう言って出て行こうとした俺を止めたのは、ベッドから伸びた千夜子さんの手だった。


服のすそをつかむ、小さな手。


俺は向き直り、彼女の顔を上からのぞきこんだ。



「千夜子さん……?」



言葉もなく、彼女の瞳から涙がぽろぽろこぼれていく。



「どうしたんだよ」



俺はベッドの横にしゃがんで、濡れた頬を指でぬぐった。


肌よりも熱い涙が、俺の親指の上でにじんだ。



「……何かあった?」



誰だって体調を崩したときは気弱になるもんだ。


だけどそれだけの理由で、千夜子さんが俺に対してこんなことをするとは考えられなかった。



「何か辛いことがあったんだろ?」