SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


すぐにドアノブを引きたい衝動を抑えて、あちらから開かれるのを待つ。


ゆっくりと、重そうに動くドア。


廊下の蛍光灯のあかりが千夜子さんを照らし、俺は息をのんだ。



無造作に乱れた髪。

こぼれそうなほど涙をためた瞳。



視線が合ったのはほんの一瞬で、千夜子さんはふぅっと目を細めたかと思うと

俺の胸に寄りかかってきた。



「千夜子さん!?」



いきなり体重を預けられた驚きは、すぐに別の驚きに変わった。



「体、めちゃくちゃ熱いんだけど。熱あるんじゃね!?」



千夜子さんのおでこに手のひらを当ててみた。

少し汗ばんだそこは、はっきりと熱を放っている。


俺は千夜子さんを抱きかかえ、いそいでベッドに寝かせると、氷水で冷やしたタオルをおでこにのせた。


冷たさが心地いいのか、千夜子さんの表情がほんの少しやわらいだ。



「………」



そういえば初めて会った日も、千夜子さんの足首を冷やしてあげたんだっけ。


……ホント、世話の焼ける女。


そう思ったと同時に、胸の奥がうずいた。