SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


2年前に陸上をやめてから、健吾はどこか投げやりな雰囲気を漂わせていたと思う。


だけど最近は俺から見てもまぶしいくらい、イキイキとしているんだ。


それは紛れもなく、莉子ちゃんの力だ。


彼女との未来を願う気持ちが、健吾に力を与えているのだから。



俺の言葉を聞いてキョトンとする莉子ちゃんに、アキが口を開いた。



「今の健吾にとって、あんたとの未来が“夢”ってことじゃねーの?」


「………」



夢。

そう、夢なんだよな。


たとえば子どものころ、ウルトラマンになりたいとか、宇宙旅行に行きたいとか夢を見た、あの感じとはまるで違う。


少し大人になった俺たちが見る夢は、ひとりで見るものじゃなくて。


自分以外の誰かを強く想うとき、漠然とした未来の中に、浮かびあがってくるもので――



そのとき突然、

頭の中にひとりの人の顔が現われて、俺は驚いた。



な、なんでこのタイミングで、彼女の顔が浮かぶんだよっ……。


脳裏からその顔を追い出そうとしていると、小さな着信音があたりに響いた。