SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


俺はワンルームのすみに設置された小さなキッチンで、手際よく玉ねぎの皮をむき始める。



料理は、もともと得意だった。


うちは親父も兄貴も料理人だから。


いつも身近に料理があったし、そのせいで逆に、「男が包丁を持つなんてダサイ」と反発したこともあった。



素直に料理が好きだと思うようになったのは、つい最近だ。


その心境の変化が、何を意味するのかは、自分じゃよくわからないけれど。




「わぁ~、いい匂い」


出来上がったハンバーグに顔を近づけ、うっとりとつぶやく千夜子さん。


「シン君ってホント、料理が上手だよね」


「お婿さんにしてくれる?」


「それはやだ」


即答する千夜子さんに、俺は「ちぇーっ」と舌打ちして、ふたりで笑った。



不思議なほどに楽しかった。



仲間と騒いでいる時とは違う

家族と過ごす時とも違う


この部屋で、千夜子さんといるときだけの、俺がいた。