SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「や、あのっ……別に変な意味で言ったんじゃねぇからっ」



言い訳がましくごまかしていると、ポケットの中の携帯が鳴った。

グッドタイミング。

電話の相手に感謝しながら、俺は「ちょっと外に行ってくる」と部屋を出た。




「もしもし?」


『あ、シン? 起きてたんだ~』



同じクラスの女の子の声。


急に日常に引き戻された気がして、頭がクラクラする。




「起きてたよ。どした?」


『今からうちに遊びにこない? リカやナオミもいるよ~』


「あー…ごめん」



夜風の冷たさに身震いしながら、俺はとっさに嘘をついた。



「もうベッドの中なんだ」


『え~、シンがいなきゃつまんないよ~』



俺がいなきゃつまんない、か……。


好意的な言葉なのに、なんだか今はあまり嬉しくない。

どうしたんだろ、俺……。



『シン? 聞いてる?』


電話のむこうから返事を急かす声がした。


「あぁ、うん」


『こんどまた遊ぼうね』


「うん……おやすみ」



電話を切った俺は、タバコを一本取り出して、火をつけた。


空気が冷たくて、指先も唇も冷え切っていたけれど

俺はゆっくり、ゆっくりと、タバコを吸った。