SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「……まぁ、千夜子さんほどストレートに感情表現する人も、めずらしいと思うけどな」



照れかくしで意地悪な言い方をすると、千夜子さんは

「どうせあたしは子どもっぽいわよ」

と唇をとがらせた。



「ほら、やっぱりストレートだ」


「うるさいなぁ~」


「ははっ」



からかえば拗ねる。

嬉しければ笑う。

あやまるときは泣きそうな顔になる。



俺とは正反対の、自分にまっすぐな彼女。



俺の胸に、温かくてくすぐったいものがこみ上げた。






「千夜子さん、いい女だね」





「え……っ」

と戸惑った彼女を見て、俺は、自分の無意識の発言に気がついた。



“いい女だね”


気づいたとたん、ガラにもなく顔が赤くなる。


他の女の子になら、このくらいのことは軽い気持ちで言えるのに。


心臓がドキドキしている。

逃げだしたいくらい恥ずかしくなる。



それはきっと

言葉と気持ちが、同じ重さだったからだ。