SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


片手で持ち上げられそうなほど軽い体。

頼りなくふわふわした、羽を連想させる軽さだ。


俺は昨日もしたようにお姫様だっこで、3階までの階段を上った。



俺の首のあたりに、千夜子さんの顔がある。


その部分だけやけに熱く感じるのは、彼女から伝わる体温か、それとも俺自身の熱なのか。



「着替えるから、ちょっと待ってて」



ドアの前に着いたとき、千夜子さんはそう言って俺を外で待たせ、先に入って行った。


部屋の中に俺がいたら着替えにくいんだろう。

なんせワンルームだもんな。


……こんな狭い部屋にふたりきりで、朝まで過ごすのか……。



って、何考えてんだ、俺。

始発までの間、いさせてもらうだけじゃねぇか。



「おまたせ」


内側からドアが開いた。

俺はパッと笑顔に戻る。


「おじゃましまーす」



千夜子さんはいかにも部屋着っぽいスウェット姿に変身していた。


飾らないその格好は、まるで見なれた光景のように俺の目になじむ。