SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「あっ、でもシン君のせいじゃないからねっ。あたしが勝手に走ったせいだし」



気を使わせまいと、一生懸命に説明する千夜子さん。


その姿を見ながら俺はポリポリと頭をかく。



……変な子だよなぁ。


わざわざ俺にあやまるためだけに、仕事を抜け出して。

おまけにケガしてる足で走ってさ。



「ねぇ、千夜子さん」



不思議な気持ちだった。


男とか女とか
オトナとかコドモとか関係なく

千夜子さんというひとりの人間が、俺の心の中にすっと入ってくる。

そんな感じだった。



「部屋に着くまで、千夜子さんを抱っこしてもいい?」


「えっ?」


「その足で階段とか上ったら、よけい腫れるかもしんねぇし」


「………」



昨日は強引に抱っこしたくせに、こんなことを訊くのは今さらかもしれない。


けれどなぜか、このときの俺には、彼女に気安く触れるなんてできなかったんだ。



千夜子さんは言葉を探してとまどっていたけれど、俺が純粋にケガを心配しているのだとわかると


「……じゃあ、お願いします」


と、うつむき加減でつぶやいた。