“シンをよろしくね~”



ハルキさんの残したセリフが、気まずさをよけいに膨れ上がらせる。


あんなこと言われたら千夜子さんが困るじゃん。

責任感じちゃうじゃん。



人に気を使わせるのが、俺は大嫌いなのに。




「ま、始発までどっかで時間つぶすよ」


俺は肩をすくめ、軽い調子で言った。



「待って!」



一世一代の決心、みたいな千夜子さんの声。



「あの……」


「ん?」


「もし、よかったら……」






始発まであたしの部屋にいる?






聞き間違いかと思ったその言葉に、俺は「え?」と聞き返した。




「だって……シンくん、学ランだし」


「…………」





こうして俺は千夜子さんの部屋で
一夜を過ごすことになった、ってわけです。