SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


……そもそも、だ。


彼女は謝ってくれたけれど、悪いのは俺の方で。



――『おじさ~ん。俺の彼女に何してんの?』


あんな行為は結果的に、ただの営業妨害で。



――『お前とは恋人でも何でもないって、ちぃちゃんが説明してくれたぞ』


俺よりオッサンを優先するのは、千夜子さんにとって至極当然のことで。



だから。


だから今、彼女の背中が遠ざかっていくのを、俺はガラス越しに見送るしかできないわけで。


もう会う機会がないことも

ただ知り合っただけで終わってしまったことも

全部全部、しかたのないことで。




……なのにどうして


こんなに寂しい想いがこみ上げてるんだよ、俺?




「シン。ジュース買ってきてくれねぇ?」



突然、道端の自販機を指さしてハルキさんが言った。



「今ですか? あとでコンビニ寄ればいいじゃないっすか」



生意気にも俺は断った。


千夜子さんの姿が完全に見えなくなるまで、車を降りたくはなかったんだ。



「喉かわいてんだよ」



千円札を無理やり握らされ、渋々車から降りた。


すでに10メートルほど離れた千夜子さんの方は見ずに、自販機に向かう。


そのときだ。