SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「……よかった、間に合ったぁ……っ」


息切れした声が外から響く。



「君、お店はどうしたの」


窓から顔を出してハルキさんが尋ねた。



「抜けてきました……シン君にあやまらなきゃと思って……。

あの、彼はもう帰っちゃったんですか?」



スモークのせいで、千夜子さんは俺が後ろに乗っていることに気づいていないらしい。

車内にいるのはハルキさんだけだと思っているようだ。


するとハルキさんは突然、おせっかい焼きの仲人のような口調で言い出した。



「後ろ、乗りなよ。シンに会わせてあげるから」


「えっ……」



いきなり乗れと言われ、当然ためらう千夜子さん。


そんな彼女を急かすようなタイミングで、後方の車から「さっさと進め」とクラクションが鳴らされる。



「ほら早く」


「あ……はいっ」



運転席の窓から見えていた、淡いピンク色が消えた。


そして次の瞬間、俺の横のドアが勢いよく開いた。