SIN (LOVE and DAYS・番外編②)



大通りに出るまでの道は、酔っぱらいやキャッチの連中があふれていて、車がなかなか進まない。


退屈して再びタバコに火をつけるハルキさん。


着替え中の俺は、スーツのズボンから足を抜き、学ランのズボンを手に取った。


濃いスモークを貼ったこの車は、周りを気にせず着替えられるからいい。




「……おい、シン」


「はい?」


「じゃあお前はもう、あの子に会いに行くつもりはないってことか?」



え? まだその話題かよ。



「そうっすね」


ズボンに足を通しながら、ハルキさんの方を見ずに答える。



「でも彼女の方は、そうじゃないかもしんねーぞ」


「はい?」



片足だけ通した状態で、俺は顔を上げた。



ハルキさんが、運転席の窓を全開にして頭を出した。


その様子を後ろから見ていた俺は、ハルキさんの頭の向こうに、ピンク色の何かが近づいてくるのを発見した。



見覚えのある色。



千夜子さんのドレスの色だ。




あまりの驚きで、履こうとしていたズボンが手から滑り落ちた。