SIN (LOVE and DAYS・番外編②)



車の後部座席に乗り込むと、すぐさまスーツの上着を脱いだ。


そして、車内に置いていた学ランに手を伸ばす。



――『高校生なんかと付き合うわけがないってな』



ふん。年食ってることがそんなに偉いのかよ。

オッサンの高慢な態度を思い出し、俺は心の中で悪態をついた。



……早く制服に着替えよう。

こんな借り物のスーツ、さっさと脱いでしまおう。




「災難だったな、シン」


運転席からハルキさんが言った。



「便所行ったかと思ったら、変なオヤジに絡まれてたからビックリしたぞ」


「……すみません」


「酔っぱらいはタチが悪いよなぁ」



ハルキさんは煙草を取り出しながら、ゆったりと笑う。


キャバクラ好きのくせに酒が嫌いなこの人は、ウーロン茶しか飲まないんだ。


“酔っぱらいはタチが悪いよな”と、いつも口癖のように言っている。