SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「未成年の方の入店は、お断りしていますので――」


「悪いね、俺がこいつを誘ったんだ」


騒ぎに気づいてやって来たハルキさんが、黒服の言葉を遮った。


「勘弁してやってよ」


常連らしい気安さで、肩をすくめるハルキさん。


黒服はそれ以上、何も言わなかった。



「帰るぞ、シン」


「……はい」



歩きかけた俺は、ふいに足を止め、千夜子さんの方を見る。


満足げにふんぞり返るオッサンの横で、千夜子さんは唇を噛んでいた。



「ちぃちゃん、ごめんね」



俺の言葉に、千夜子さんは顔を上げた。



「な~んか俺、完全にちぃちゃんの営業妨害しちゃった感じだよね。ごめん、ごめん」




嫌味な口調には、ならなかったと思う。

卑屈な口調にも、ならなかったはずだ。



俺は得意のヘラヘラ笑顔で謝って、ハルキさんとともに店を出た。