千夜子さんがいなくなった俺の隣には、すぐに新しい女の子が座った。
「はじめまして~。アリサです」
「あ~どうも。よろしく~」
金色のアップヘアに、ロングドレス。
千夜子さんよりずっと、世なれした感じの女の子。
ちょっと化粧は濃いけれど、可愛いし、会話もノリがいい。
……でも、なんでだろう。
俺は確実にテンションが下がっていた。
広くて暗い店内に、チラチラと視線を走らせる。
「どうかしました?」
心ここにあらず、といった俺を、隣の女の子が不満そうにのぞきこんできた。
「あ、ううん。何でもないよ~。
ちょっと俺、トイレ行ってくるね」
俺はヘラヘラっと笑って、席を立った。