放課後はミツルたちと遊んで、別れたのは夜の11時だった。
国道沿いをひとりで歩いていると、後ろから車のクラクションが鳴った。
「シン!」
「あぁ~っ、ハルキさん!」
お久しぶりっす~!と叫びながら、俺は車に駆け寄った。
運転席の窓から顔を出しているのは、中学の先輩、ハルキさん。
最近は会っていなかったけど、昔は色々と遊びに連れってくれた人だ。
「乗れよ。飲みに行くぞ」
挨拶もそこそこに、さっそく嬉しい誘い。
ちなみにこの人の場合、“飲みに行く”イコール“キャバクラ”だ。
「でも俺、学ランっすよ」
「あぁ、俺のスーツ着ればいいよ」
後部座席のハンガーケースを親指で指して、ハルキさんが言う。
「んじゃ、お言葉に甘えて」
俺は車に乗り込み、学ランを脱ぎ捨てた。



