意外にも、彼女は素直にうなずいた。
初対面の俺にこんなこと言われて怒らないんだから、どうやら自分でも自覚はあるようだ。
「……高校生のくせに、よくわかってるのね」
そりゃあ俺も男ですから、
と言おうとして、やっぱりやめておいた。
もし、俺が客として店に行ったなら、間違いなく彼女のような隙だらけのタイプを狙うと思う。
酔わせて口説けば一発ヤレそう、なんてヨコシマな下心を男に起こさせるタイプだから。
……この子、このまま水商売なんか続けてたら、いつかマジでヤラれるんじゃないだろうか。
今日だって俺がいなきゃ危なかったよなあ。
「君さぁ、これから客と同伴するときは、ホテル街なんかに近づいちゃダメだよ」
ガラにもなく心配して、そんなことを言ってしまう俺。
タオルに包んだ氷の冷たさで、右手がだんだん冷えてきて
いったい何やってんだろう、なんて今さら思った。



