「すみませんっ、“ちぃ”ですけど。植田マネージャーお願いできますか?」
しばしの沈黙のあと、携帯からかすかに「もしもし」と男の声が漏れてきた。
「すみません、足をケガしてしまったので、今日は休ませてもらいたいんです……はい……ごめんなさい」
彼女の表情は、たちまちションボリしていった。
ここまで萎縮するなんて、よっぽど厳しい店なんだろうか。
「休ませてくれるって?」
電話を切った彼女にたずねた。
「うん」
落ち込んだ顔でうなずく彼女に、俺はヘラッと笑う。
「なんかさぁ、君が夜の仕事してるなんて、想像できねぇな~」
「……どういう意味?」
「だって店に来る男なんて、下心のあるヤツがほとんどじゃん?
君みたいな頼りないタイプ、一番狙われやすいし。
今日みたいにホテル連れ込まれそうになったのも、初めてじゃないだろ?」



