「安心してよ。俺、今んとこ“オトナの女性”にしか興味ないからさ」
俺の嫌味を聞いた彼女は、唇を突き出すように尖らせる。
ほら、その反応が子どもなんだっつーの。
マジでおもしろいな、この子。
俺は冷凍庫からもらった氷をビニール袋とタオルに包み、フローリングの冷たい床に、腰をおろした。
ベッドに座っている彼女の右足を取り、氷で冷やしてあげる。
「……ありがとう」
さっき勘違いで暴れたことを恥じているのか、しおらしくお礼をつぶやく彼女。
俺は彼女の足首に氷をあてたまま尋ねた。
「君ってさ~、夜働いてんでしょ?」
少し間をおいて、彼女が「うん」と答えた。
「じゃあ店に電話入れといた方がよくね? 無断欠勤はまずいでしょ」
「あっ!」
どうやらすっかり忘れていたらしい彼女は、あわててバッグから携帯を取り出して、電話をかけ始める。



