どうやら完全に襲われると思ったみたいだけど。
さすがにそんな鬼畜じゃねーっての。
俺はただ、彼女の足の、ケガの具合をみていただけだ。
「うん、思ったより腫れは少ないし、明日には歩けんじゃねーかな」
足首に手を当てながらそう言うと
「……あ…そ、そう……」
弱々しい返事が返ってくる。
「で? 何が“ダメ”なわけ?」
そう尋ねてニヤッと笑う俺に、彼女の顔がまたまた赤くなった。
「別にっ、そんなこと言ってない!」
「言ったじゃん」
「言ってない!」
ムキになる様子がおかしくて、俺は笑いを噛み殺す。
泣いたり怒ったり恥じらったり。
まるで百面相。
俺より8つも上なのに、ガキみたいだ。



