「部屋、何階?」
「さっ、三階っ。ていうか、なんで抱っこ!?」
「階段上るときは、おんぶよりこの方が安全じゃん」
うっ…と言葉をのむ彼女。
俺は余裕の口笛を吹きながら、マンションの階段を上る。
そして彼女が住む303号室の前まで来ると、
「鍵」
と当たり前のように言って、彼女から鍵を受け取った。
「お邪魔しまーす」
「はっ!?」
なんで貴方まで入るのよ!という声を無視して、図々しく部屋にあがりこむ俺。
ワンルームのすみの小さなベッドに、彼女の体を落とした。
「ちょっ、やっ、待って!!」
俺を見上げるその表情は、警戒心モロ出し。
が、俺はお構いなしに、彼女の方に手を伸ばす。
「やっ! それはダメっ!!
やめてぇぇっ!!」
「何が?」
「…………へ?」
涙をためた彼女の瞳が、パチクリと瞬いた。



