SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


「どういたしまして。じゃね」


「あっ」



帰ろうとした俺を呼びとめるように、彼女が声をあげた。



「……何?」


「いや、あの……」



歯切れの悪い彼女に、俺が首をかしげていると

彼女はくじいた右足を地面から浮かせ、消え入りそうな声でつぶやいた。



「実は……うちのマンション、エレベーターがなくて」



ああ、はいはい。

そういうことね。



やっと理解した俺は、彼女の体をひょいを持ち上げる。

いわゆるお姫様だっこ。



彼女の方は、まさかこんなことをされるとは思っていなかったらしく、


「ひゃあっ!」


赤い顔で奇声をあげた。