SIN (LOVE and DAYS・番外編②)



タクシー乗り場まで連れて行くつもりだったけど

自宅の住所を聞いたらすぐそこなので、そのままおんぶで送ってあげることにした。



「ちょっ……もう大丈夫だから降ろしてよっ」



背中から聞こえる非難の声も、降りようと暴れる体も、シレッと無視。


だってどう見ても大丈夫じゃねーし。

目を離すと危なっかしそうだし。






彼女の家には、あっという間にたどり着いた。

築30年は優に越えていそうな、おんぼろマンション。



「着きましたよ~、姫」



マンションの前で彼女を降ろしてあげる。


橙色の街灯の下、唇をへの字にする彼女は


「……送ってくれて、ありがとう」


と、一言ぽつり。



……表情と言葉がまったく合ってねぇ。