あっという間の日々だった。
ふわふわと、だけど鮮やかに
俺の心を一色に染めた日々だった。
千夜子さんを乗せた電車が、ゆっくりと視界をすべっていく。
ガラス窓ごしに、最後に見た彼女の笑顔。
声は聞こえなかったけど、その唇がつむいだ言葉はちゃんと俺まで届いたよ。
“また会おうね”
……うん。きっと。
きっとまた会おう。
遠ざかる電車の音は、やがて風のように消えていった。
ぽっかりと空いたプラットホーム。
そのむこうには無数の星。
漆黒の空に散らばる光が、なぜだか無性に目にしみて、俺は少し泣いた。
こんなにきれいな夜空なら、何度でも
何千回でも見たいと思った。