SIN (LOVE and DAYS・番外編②)


まぶしいくらいキレイな、千夜子さんの笑顔。

穏やかな表情。


自分の未来を歩きだした彼女に、「行くな」とは言えなかった。



「出発は……いつ?」


「今夜。このあとの終電に乗って行くの。
だから最後にもう一度だけ、部屋を見たいと思って来てみたんだけど……
そしたらシン君がいたから、ビックリしちゃった」



千夜子さんは泣き笑いの表情で肩をすくめた。



彼女の瞳にたまっていた涙が、ぽろりと落ちる。



……今すぐ抱きしめたいくらいに愛しい、けれど――



「千夜子さん」


「ん?」



抱きしめるより、言葉で言わなくちゃ。


一番伝えたかった想いを、今ここで。



「俺、千夜子さんに出会えてよかった」


「………」



千夜子さんはぎゅっと唇を噛んで、小さな声で、「あたしも」と言った。



「でも……今すぐシン君を選ぶことはできないの。あたし、まだ――」


「わかってる」



え?と千夜子さんが顔を上げた。