やれやれと俺は肩をすくめて、きびすを返す。
なんだ、あいつ。
変な女だなぁ。
俺が理想とするオトナの女性とは、大違い――
「ぎゃあっ!!!!」
今度は何だよ、オイっ!?
あわててふり返ると、5メートルほど先のところで、彼女が思いっきり転んでいた。
「い…痛ぁい~っ!」
泣くのかっ?
また泣くのかっ!?
なぜかオロオロする俺と
尻もちをついたまま、足首をさする彼女。
彼女の履いているヒールが折れたらしく、靴底がぱっくりと口を開けている。
あの様子じゃ、とてもじゃないけど歩けないだろう。
「………」
見て見ぬふり……は、さすがにできない。
まあ、これは
緊急事態ってやつですか。
「……ほら」
「え?」
「おぶってくから、乗って」
俺は痛がる彼女のそばに行き、背中を向けてしゃがんだ。



