あたしの泡だらけの手は宙に浮いた。 手首を掴まれ、唇が触れる。 唯一の抵抗の術を失ったあたしは、この男が唇を離すまで黙って待つしかなかった。 やがて2つの唇の間に1センチメートルの隙間が出来た。 「残念。こっちの顔が本物」 珍しく真面目な顔をした十星はそのまま続けた。 「俺はね、千夏を守りに来たんだよ」