あたしが不安そうに俯くのを見てか、大貴はあたしを自分の膝に乗せて後ろから抱きしめた。


「千夏、俺のランクは?」

耳元で囁く。



怪盗を助け、プロデュースする補佐役のランキング。



「……S」



大貴はあたしの補佐役になる前、既にSにランク付けされていた。

若手、熟練問わず多くの怪盗が補佐役にしたがる大貴を専属にしたあたしは、初めよく睨まれた。



「だから大丈夫」


「うん」


あたしが怖いのは十星に負けることじゃない。

あたしが失敗して、大貴の名前に傷をつけるのが怖いんだよ。


「大貴」

「ん」

「キスして」


後ろで、ふっと笑う声がした。



「歯磨いてきたらな。納豆くせーぞ」