大貴に決勝に出なければならなくなったこと、監督に手抜きプレーがばれていたことを話しながら夕飯を食べた。


「じゃあ、練習で忙しくなるな」


「そうなんだよね。明後日も部活でさ、休めない……」


「じゃあ下見は俺一人で行ってくるから」


下見とはいえ、デートみたいなものだと思って楽しみにしてたのに!

ああ不祥事のバカ!



「あまり無理するなよ?

計画は俺が立てておくから。

ただ、当日も部活だろうけど少し早く帰ってこれるように頑張れ」



「うん。頑張る」

ごめんね。
心の中で呟く。口に出すと泣いてしまいそうだから。

大貴に近付きたくて、十星に負けまいと意気込んだ直後にこれだ。





「それにしても、監督すごいな。やっぱり経験だな」


『やっぱり経験だな』
経験より実績が欲しい今の私には歯痒い言葉だ。


「もう『全力でやってます』って言い張るしかないよね」


「全力でやれば?」


あたしが口の中がナポリタンでいっぱいの状態で「え?」という顔をすると


「さすがに全力はまずいか」

そう言って笑った。